ネルヒモのブログ

最近はウマ娘にはまってます。坂スキルを検証中

アイドルマスターショートショート「小鳥さんが一番」

ここは765プロ事務所、今日も平和である。 俺はこの事務所のP(プロデューサー)である。 この事務所は女性のアイドルだけのなので、いつも楽しく姦しい感じだ。

亜美「兄ちゃん、彼女にするなら亜美と真美どっちがいい?」
真美「もちろん、真美だよね。このサイドテールに兄ちゃんはメロメロっしょ」

本当に平和である。いつものように亜美と真美の俺いじりが始まる。 思春期の女の子の適当な会話。本気で俺の事が好きなわけでもない。 この空間にいる男に話を振ってみたいだけなのだ。

当然、俺にロリコンの趣味はない。十歳近く下の女の子は 恋愛対象とかそういうレベルの話ではないし。

二人に舐められているのか、近い存在だと思われているのか。 俺はからかい易いキャラなんだろうなと自己分析している。 同じPの律子と比べれば百倍近く、ちょっかいは出しやすいと思う。

P「まだまだ、二人は子供だからどっちと言われても」
亜美「照れなくてもいいじゃよ。竜宮小町で人気が鯉登りの亜美に照れるのも仕方なし」
P「何だよ、『鯉のぼり』じゃ子供の日になっちゃうだろ。鰻登りだって」
真美「えー、真美達の事、あくまで子供扱いするんだ。中学生になって身長もこーんなに伸びたし 、おっぱいだって急成長中だよ。本当に贅沢だね、兄ちゃんは。あっ、兄ちゃんはPだから自分でPしてる子 の方を大事にした方がいいじゃないのかな」
亜美「ちょっと、真美。そういうのはズルだよ。どっちかといえばでいいからね。兄ちゃんの素直な気持ち を聞かせてほしいだけ。ね、いいでしょ、兄ちゃん。お願いだから。」
P「……何でそんなに必死なんだ」
真美「負けた方がアイス奢る約束だから、なんでもいいから決めてよ。」

とても困った事になる。 俺にとって二人はどっちも一緒だ。見た目も似ていて性格も似ている。 双子だから当然だ。 違う必要もないし、同じ良さ(明るくて元気がいい等)は見て取れる。 二人はよく一緒にいて同じくアイドルをやっている。似ることは必然とも言えるだろう。

二人は二人なりに頑張ってアイドルしている事は、身近な俺にはよく分かっている。

そして、どちらかが上だ、下だ、何て言ったら二人のどちらかが凹むだけでとても良くない。

P「二人は同じくらい魅力的だろ。二人とも売れっ子のアイドルじゃないか。明るくてかわいい亜美と真美をファンのみんなは大好きだろ」
真美「そういうのはいいから。真美だよね」
P「同じです」
亜美「亜美だよねー」
P「同じく二人ともかわいいって」
亜美・真美「うー、むぅー」

真美「じゃあさ、兄ちゃんが765プロで一人を選ぶなら誰がいいの?」

もっとやっかいな事になってきたぞ。どうすれば、この場が治まるんだ。 誰と答えても角が立つし、答えないとこの場から逃げられそうにない。 俺は動けないまま、額から汗が垂れて来るのを感じている。しかし、何でこんなに食い下がらないんだ。

亜美「やっぱ、センターっぽい、はるるんかな」
真美「いや、ミキミキっしょ。ハニーは駄目なんて言って、本当は超嬉しいんだよ」
P「あ、あのなあ、うちの子をそんな目で見てないって。」
亜美「あー! 亜美達に足りないのは大人の色気なんじゃ。これはお姫ちん狙いだったか。白い肌、大きな胸、男性は惑わされますな」
真美「あずさお姉ちゃんも胸はすごいよね。」

俺は二人の高いテンションに押し込まれてしまう。 困りながら顔背けると音無さんと目が合う。

そうだ、ここは音無さんに助けてもらおう。 俺は目で音無さんに合図を出して切り出す。

P「765プロといえば音無さん、いや小鳥さんが一番です。ねっ小鳥さん」
小鳥「本当ですか! みんなより私がいいんですか! 」
P「当たり前じゃないですか。小鳥さんが765プロで一番魅力的です! 」
亜美「そりゃ、ピヨちゃんは確かにかわいいけどさ」
真美「真美達を騙そうってそうはいかないよー」
小鳥「Pさん、私とっても嬉しいです。アイドルのみんなより私の方が好きだなんて」

ノリのいい音無さんは俺に胸に顔をうずめて来る。よし、こうなったらとことんやるべきなんだ。 俺は音無さんをきゅっと抱きしめる。

P「俺は小鳥さんが大好きなんです! 」
真美「えええー。兄ちゃんはピヨちゃんの事が好きだったんだ。……全然知らなかったよ」

これで亜美も真美も下らない事を当分は言わなくなるだろう。 しかし、二人はどこへ行ったんだ。まあ、いいか。これで丸く収まったんだ。

P「音無さん、もういいですよ」
小鳥「ふふふ、そうですね。続きはまた今度にしましょうか」
P「音無さん、からかわないで下さいよ」
音無さんと演技とはいえ、触れ合えるとは役得だったな。 俺、ちょっとにやけてるかも。 俺が少し気を抜いていると、いつの間にか周りに765プロのアイドル達が集まっている。

伊織「ちょっと、あんたたち何やってんのよ。事務所内でいちゃつかないでよね。」
響「亜美と真美がさ、ぴよ子とPはラブラブでやばかったとか言ってたけど、冗談じゃなかったんだな」
美希「P、好きな人がいるなら、ミキにちゃんと言って欲しかったな。ミキ、バカみたいだね」

亜美と真美がみんなを呼んで来て、事務所は大騒ぎになった。

俺はアイドルみんなに色々な誤解を与えて、当分の間ギクシャクとした日々を送ったのだった。(おわり)